ウォームアップ・ジャパンin東北「ふくしま大運動会in会津」
- プロジェクト
- ウォームアップ・ジャパンin東北
- イベント名称
- 「ふくしま大運動会in会津」
- 開催日
- 会津高原リゾートイン台鞍 2012年1月5日(木) 会津高原だいくらスキー場 2012年1月6日(金)
ウォームアップ・ジャパンin東北「ふくしま大運動会in会津」が、2012年1月5日(木)~6日(金)の二日間、会津高原リゾートイン台鞍、会津高原だいくらスキー場にて開催されました。
ウォームアップ・ジャパン・プロジェクト初のウィンタースポーツの大運動会は、会津 ・ 南会津地区に居住する小学5年生から中学2年生32名が参加しました。
アスリートは、岩谷高峰さん(アルペンスキー/1984年サラエボオリンピック出場)、大日方邦子さん(チェアスキー/1998年長野パラリンピック金メダリスト)、鶴岡剣太郎さん(スノーボード/2006年トリノオリンピック出場)が参加。
初日は開会式からスタートし、日本アスリート会議代表理事 間野義之がトップアスリートに習えるのはなかなかないチャンスです。今日明日は宿題のことは忘れてぜひ楽しんでください。」と挨拶し、南会津町 教育員会 教育長 五十嵐竹則様、みなみやま観光株式会社 代表取締役 渡部龍一様からもそれぞれご挨拶をいただきました。
続いて、パネルディスカッションを実施し、子ども達は初めてみるトップアスリートたちに少し緊張気味でしたが、笑いを交えたトークやアスリートの方々の興味をそそられるお話に、次第に目を輝かせて聞いていました。
岩谷さんは自身の幼少期にスキー場の上に住んでいて毎日をスキーと共に過ごしていたこと、オリンピック出場時には海外の選手と積極的に話すことによって自分に自信がついてきたことなどをお話しいただきました。
鶴岡さんはスノーボードを始めたのは21歳からで、子供たちには挑戦することの大切さを伝えていただきました。
大日方さんは自身が足に障害を持ち、学生時代にいじめられていましたが、その経験をのりこえパラリンピックで金メダルを手にした経験をお話くださいました。トークの途中で大日方さんが本物の金メダルを披露いただき、初めて見る金メダルに子供達は大興奮していました。
2日目は、スキー・スノーボード教室、雪上運動会を開催しました。
初めてスキーやスノーボードに挑戦する子どもたちも多く、転んでうまく滑れない子どもたちが何度も挑戦して次第に滑れるようになったり、スキー靴をはいて歩くことも困難だった子どもが、一人で滑れるようになど、参加者は短い時間の中でずいぶんと上達しました。
運動会では、雪上綱引き、そりリレーなど、雪上ならではのゲームを楽しみ、アスリートとの交流を深めました。
閉会式では、まずアスリートたちからひとことずつメッセージが伝えられました。今回のアスリート達が最も伝えたかったのは「失敗して、失敗から何かを学び、そしてまた挑戦する」ということでしたが、スキーやスノーボード教室で、子どもたちは各々の経験を通じて、このメッセージを体感し、実践していました。
子どもたちは、トップアスリートたちとイベントを通じて非常に親密になり、二日間のプロジェクトが終了すると、子どもたちはどこか自信がついた顔つきになりました。
指導にあたったアスリートのコメント:
岩谷高峰さん(アルペンスキー/1984年サラエボオリンピック出場)
「震災を受けた子どもたちに、今回のイベントを通じて心から楽しんでもらいたいと思って参加しました。また、子どもたちにウィンタースポーツを広めることは私自身の使命だと考えているので、今回の経験を通じてウィンタースポーツの存在を知ってもらいたいと考えていました。
今回のイベントを通じて、子どもたちには、雪の感触や滑ることの爽快感は日常では味わえないことなので、まずスポーツを通じて多くのことを感じてもらいたいということ、また初めてあう人と友達になってもらいたいと考えていました。今回のイベントでは知らない人が多かったと思いますが、どんな人にでも話すことのできる勇気を持ってもらいたいと願っていました。
実際には、子ども達はリラックスして楽しんでいたと思います。チームをつくって活動をしたので、今回の経験を通じでチームワークの重要性を知ってもらえたと思います。今後の将来にいかしてもらいたいです。
大日方邦子さん(チェアスキー/1998年長野パラリンピック金メダリスト)
スキー教室などのイベントは経験がありますが、トークや雪上運動会のように雪で遊ぶという経験は初めてだったので、自分自身面白い経験ができました。
被災した子どもたちと触れあってみて、コミュニケーションを取るときに工夫が必要だと感じました。表面上は元気そうでも、心の奥底にいまだに影を抱え、本気で楽しめない子どもがいました。彼らの心の傷を癒すにはまだ時間がかかると思います。
今後の自分自身の活動としては、将来的にオリンピック選手とパラリンピック選手が一緒に練習できるような環境を作りたいと考えています。パラリンピックでメダルを獲得した自分が積極的に発言していくことでスポーツ基本計画などの法律を、健常者にとっても障害者にとってより良いものにしていきたいと考えています。
鶴岡剣太郎さん(スノーボード/2006年トリノオリンピック出場)
普段は、スノーボード教室というと、経験者でトップレベルを目指す子供たちが集まってきますが、今回は本当に初心者の子ばっかりなので、一人でも多くの子供たちにスノーボードを楽しんでもらいたいという気持ちで参加しました。
2日目の午前中のレッスンは、きっと楽しんでいるのだろうけど、わいわい騒ぐ子がいなくて意外と静かでした。午後の雪上運動会では、チームをつくって戦いましたが、最後はみんなが一つになってゲームを楽しんでいるなと感じました。
現在、指導者としてジュニア育成をしていますが、なかなか初心者を教えることは少ないので、今回はすごく良い経験になりました。アスリートと子どもたち、あるいはクラブをつなぐ中間組織があったら良いのではないでしょうか。
参加者からは、アスリートが伝えたかったことが伝わったと感じられる感想が伺えた。
「トップアスリートの人たちと遊べて楽しかった。特に、雪上運動会で行なった雪上綱引きや、岩谷さんの冗談や行動が面白かった」(中学2年生・女子)
「大日方さんの金メダル・銅メダルを触ったことが一番印象に残ったし、そのような経験ができて嬉しかった。岩谷さんが片足一本でスキーを滑っているのを見てすごいと思った。ディスカッションはとても勉強になった。特に、鶴岡さんの話してくれた、チャレンジ→失敗→成功の流れの中に、失敗の後に『作戦タイム』を入れてチャレンジ→失敗→作戦タイム→成功という流れにするというお話が勉強になった」(中学1年生・男子)
「いつもは学校でスキーの授業があるけど、今回習って前よりうまくなったと思う。雪上運動会では、私のチームは負けてしまって悔しかった。」(小学5年生・女子)
「やっぱり雪の上で動くのはいつもの土の上とはちがって難しかった。僕は岩谷さんのチームで最後に高いタワーを作って優勝することができた。アスリートと一緒にできてすごく楽しかったです。新しいともだちもできました。」(中学2年生・男子)
「アスリートの人たちから挑戦する心を学んだ。スポーツをする楽しさは明日からの励みになる。私もトップアスリートの人たちみたいになりたい。」(小学5年生・女子)