エコノミークラス症候群を吹き飛ばそう!
- プロジェクト
- パワーアップ・ジャパンfrom Tokyo 平成27年度
- イベント名称
- エコノミークラス症候群対策事業『エコノミークラス症候群を吹き飛ばそう!』
- 開催日
- 2016年2月18日(木)、19日(金)
2月18日・19日の2日間に渡り、福島県南相馬市鹿島区にてエコノミークラス症候群対策事業が実施されました。対象となったのは、南相馬市寺内塚合および西町の応急仮設住宅住民で、2日間の参加者の合計は39名でした。本事業の講師にはNPO法人NSCAジャパン事務局長の阿部良仁氏、NSCAジャパン東北アシスタント地域ディレクターの玉木眞一氏、福島県内でインストラクターとして活躍している三瓶恵美子氏と同じく地元相馬出身の林崎拓也氏の4名が参加しました。1日目は主に玉木氏が中心となり、歌を歌いながら全員で一緒にできる運動などが取り入れられ、和気藹々とした雰囲気中で軽い運動が行われました。2日目は、三瓶氏が主たる講師として指導を行い、自宅でも簡単に行うことのできる運動などが行われました。2日間を通し各会場にて軽運動の指導が行われ、両日ともに笑顔が絶えない事業となりました。
1日目(南相馬市寺内塚合応急仮設住宅)
1日目は、南相馬市鹿島区寺内塚合応急仮設住宅集会場が会場となりました。参加者は17名で、主に仮設住宅に在住の高齢者の方々が参加しました。講師はNSCAジャパンより阿部良仁氏、玉木眞一氏、林崎拓也氏の3名が参加しました。阿部氏が全体の統括を行い、主な指導は玉木氏、アシスタントに林崎氏という役割での指導となりました。
初めに本事業の主管でもある、かしま元気スポーツクラブ会長の小屋進氏の挨拶がありました。小屋氏は参加者へ「自分に合った運動をすることが大切です。『エコノミークラス症候群を吹き飛ばそう』という名前で開催しましたが、是非とも今日は楽しく運動を学んでください。」と述べました。その後、講師紹介に引き続き、阿部氏より「運動は続けることが大切です。今日は無理の無い程度に、自分の体の声を聴きながら参加してほしいと思います。」と話がありました。
そして、玉木氏による運動指導が始まりました。まずはエコノミークラス症候群や、本プログラムで用いるゴム製のボールについて扱い方や諸注意について簡単な説明がありました。次にボールを用いた簡単な運動の具体例を説明しながらウォーミングアップが行われていきました。具体的には、座位のままボールをリズミカルに踏みつけることで足の緊張をほぐす運動や、体の表面でボールを転がすことで、触覚を刺激するような運動が紹介されました。玉木氏からは、視覚や触覚など様々な感覚を鈍らせないようにすることが認知症の予防につながることや、エコノミー症候群の対策には水分の補給も重要であることなどが伝えられました。ウォーミングアップの後は、肩や股関節、胸のあたりの筋肉を刺激するような簡単な運動が指導されました。また、参加者が椅子に座りながら円を作り、全員で「茶摘み」や「汽車」を唄いながら体を動かす運動も行われ、参加者は大変楽しそうに参加していました。
本プログラムの最後には、「ボールを有効活用して、今後とも継続してやっていただきたい」という話が阿部氏から参加者に伝えられました。
2日目(南相馬市西町応急仮設住宅)
2日目は南相馬市西町応急仮設住宅の住民の方が対象で、22名が参加しました。2日目の会場は、かしま交流センターでした。前日に引き続き全体の統括は阿部氏で、主たる講師は2日目より参加の三瓶氏、玉木氏と林崎氏はアシスタントとして参加されました。
本プログラムの初めには、かしま元気スポーツクラブ副会長の西内正耕氏より「楽しく教わって、笑顔で帰れますように」と挨拶がありました。阿部氏からは「今日楽しくやったことを続けてやって欲しい」と、自分にあった運動を継続することの大切が伝えられました。同じく、主たる指導を行った三瓶氏も「みなさんにあった運動を紹介していきたい」と述べ、プログラムが始まりました。
プログラム内容は、椅子に座りながらできる運動が中心でした。ボールを指で揉むことや、素足になって足でボールをつかむ運動などが行われました。また、「皆さんのお住まいには必ず壁があるともいます」という三瓶氏の話から、壁を使った肩回りの筋肉をほぐす運動が行われました。参加者はプログラムの最中であっても、足や肩の動きがスムースになったことに驚いていた様子でした。三瓶氏からは、「呼吸を大きく吸ってリラックスる機会は日常生活の中で少ないと思います。少しでもこういう機会を作ると体が楽になります」と話があり、運動とともに呼吸を意識することがポイントであると説明されました。そしてプログラムの最後には全員で集合写真を撮影し、参加者は帰路に就きました。
2日間行われた本事業は、ボールを用いた自宅でも簡単にできる軽い運動を中心に指導が行われました。講師と参加者のみならず、参加者同士も活発なコミュニケーションがみられ、身体面のみならず気持ちも元気になるような有意義な事業となりました。
参加者コメント
80代 男性
健康になるための運動をすることができて良かった。ボケないためにもこのような運動をすることが大切。ありがたかった。
70代 女性
運動ですることができて良かった。普段は1日中テレビばかり見ているから、運動すると違いがよくわかる。体の調子が最高によくなった。
70代 男性
みんなで楽しくやれてよかった。本当に運動は素晴らしいと思った。帰ったら忘れないで続けたい。
60代 女性
身近なもので運動ができることが分かって良かった。道具はボールだけだから、どこかに持って行ってできる。楽しくできた。
アスリートコメント
阿部良仁(NSCAジャパン事務局長)
今年で事業全体としては5年目で、鹿島の仮設住宅での事業が3年目。年々参加者の皆さんが元気になっているように感じている。クラブの人からは、継続がなかなか難しいと聞いている。今後はそこが課題であると考えている。なので、地元の方が継続して指導をできるような環境を整えていくことが大切だと思った。ただ、今回の内容は両日ともに、参加者の皆さんが大変楽しんでいたこともあり、とても良かった。
玉木眞一(NSCAジャパン東北アシスタント地域ディレクター)
ここだけで終わってはいけないというのが一番の思い。事業が終わった後のこともサポートできると、本当はさらによくなると思う。今後は事業が終わった後に、何かできるといいと考えている。
三瓶恵美子
今日一番良かったことは、結果が出たこと。それは、運動をすることで体が変わるということを参加者の方々にわかってもらい、最終的には笑顔で帰っていただいたのはすごく良かったと思う。お会いした時に、肩が上がらないと言っていた参加者の方が、最終的に肩がここまで上がるようになったと、笑顔で話してくれた。継続することの大切さを伝えたが、そのような話を聞くことができて、今日はやって良かったと思った。
林崎拓也
初めて参加したが、私自身の地元ということもあり、地域の方々と楽しく活動することができた。今後は自分が主体となって、セミナーや講演会などをやっていけたらいいと思う。