事業報告

いわて大運動会 in 気仙

プロジェクト
パワーアップ・ジャパン from Tokyo
イベント名称
いわて大運動会 in 気仙
開催日
2017年8月8日(日)

2017年度パワーアップジャパン from Tokyo 被災地復興支援の第2弾として、岩手県大船渡市にて「いわて大運動会in気仙」を開催しました。本イベントにはバレーボールの斎藤信治氏、ソフトテニスの貝瀬ほのか氏、伊藤若葉氏、卓球の坂本竜介氏、陸上の高橋千恵美氏を講師に迎え、新チームになったばかりの中学校1年生、2年生を対象にクリニックを実施しました。当日は生憎の雨模様となり、ソフトテニスと陸上で会場変更がありましたが、午前から午後にかけアスリートによる指導が行われました。アスリートによる丁寧な指導、参加した中学生や引率で参加した中学校の顧問の先生も驚くようなアスリートの技術を目の当たりにし、どの種目も非常に有意義なものとなりました。

○バレーボール

冒頭、斎藤氏から自身についての自己紹介と経験について話があり、参加中学生は真剣に傾聴していました。その後、斎藤氏を中心にウォーミングアップを行い、オーバーハンドパス、アンダーハンドパス、スパイクの講習が続き、バレーボールに必要な技術を凝縮したクリニックとなりました。ウォーミングアップでは、斎藤氏が難しいボールフィーリング技術に成功した参加者をコート中央に招き入れて手本として紹介し、「チャレンジしてくれてありがとう!」と挑戦心を称えていました。パスの指導では、手だけでなく全身を使ってボールに力を伝えることの重要性について、実演をまじえながら説明され、参加者は試行錯誤を繰り返しながら徐々にコツをつかんでいきました。午後のゲーム大会では、斎藤氏の大きなブロックをかいくぐる中学生があらわれ、大盛況のうちに幕を閉じました。

○ソフトテニス

ソフトテニスでは、貝瀬氏が中心となり、伊藤氏がアシスタントとしてクリニックが始まりました。初めに入念なウォーミングアップが行われ、フォアハンド、バックハンドなど基本的な打ち方、ネット際の球への対応といった順で午前は行われました。午後は、フットワークを意識した体の使い方に関するトレーニングや反応を意識した神経系のトレーニングなどが行われました。最後には各中学校の顧問の先生を相手に参加した中学生が挑むような形式でのラリーの練習がありました。貝瀬氏は、ボールを打つ瞬間は上半身に力はほとんど入れておらず、下半身の力を利用して打つようにしているなど、現役選手として基礎的な動作や技術について、実演を交えながら丁寧に指導をしていました。参加した中学生は、貝瀬氏からクリニック中に教わったことをすぐに実践しようと果敢にチャレンジしていました。生憎の雨により体育館でのクリニックとなりましたが、基礎的な技術や体の使い方を学ぶことができた有意義なクリニックとなりました。

○卓球

卓球のクリニックには、本イベントで最も多い100名の中学生が参加しました。午前はフォアハンド、バックハンドの練習が行われ、坂本氏からはラケットの角度や足の使い方について指導がありました。午後にはフットワークを意識した練習が中心に行われました。坂本氏はデモンストレーションを交えながら全参加者に向けて打ち方の注意点を説明し、全体練習の際には個別に声をかけ丁寧に指導をしていました。クリニックの最後には台上処理についてフリックやチキータといった技術が説明され、坂本氏による世界レベルの技術に、参加した子供たちのみならず顧問の先生たちも目を見張っていました。最後に坂本氏からは、「インターネットで世界レベルのプレーを簡単に目にすることができるようになった。かっこいいプレーはすぐ真似したくなるが、どの様なプレーも土台に基礎があって成り立つ」と基礎技術の大切さについて話があり、「普段の遊びから閃きが生まれる。練習をまじめに取り組むことも必要だが、遊び心も大切にしてほしい」と子供たちのみならず顧問の先生をはじめとした大人に向けても話があり、クリニックは終了しました。

○陸上

生憎の悪天候のため、グラウンドでの指導予定を変更して体育館内で実施となり、午前中は実技指導が行われました。まず、靴紐の結び方やシューズ選びの方法といった基礎知識を学ぶことからクリニックが始まりました。その後は柔軟性を高めるストレッチ、動きづくり、フォームチェックを中心とした丁寧な指導が行われました。午後は高橋氏と参加者による質疑応答の時間となりました。管理栄養士でもある高橋氏へ、次々と質問が出され、一つずつ丁寧に答えていました。参加者の真剣に取り組む姿勢に高橋氏は感心していた様子でした。クリニックの雰囲気も良く、参加者の笑顔が度々見られました。全体を通して、高橋氏は怪我をしない身体作り・フォームづくりの重要性を子供たちに伝えていました。最後に「感謝・素直・謙虚な気持ちを持ち続け、諦めず努力していけば夢や目標は叶います」というメッセージが高橋氏から参加した子供たちに送られました。


アスリートコメント

斎藤信治(バレーボール)

Q本日の感想を教えてください
A今日、大船渡・陸前高田の中学生を対象にバレーボール教室を実施してまず思ったのは、子供たちがみんな素直で、私の教えを一生懸命実践してくれているなということです。教えた内容がすぐ結果にあらわれることはあまり多くないんですが、子供たちが一生懸命やってくれたので、呑み込みが早く、私自身もすごく楽しいバレー教室になりました。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A今日のように被災地で教室を実施する機会が、年々減ってきていると感じます。しかし、それは復興が完了したからではなく、現地に来て現状を見てみると、津波で流されてしまった場所が手付かずの状態だったりして、まだまだ復興しきれていないように思います。毎年の被災地でのバレーボール教室で、子供たちがどんどん明るくなってきていることを感じますが、ふとした時に、心のどこかに抱えている震災の時の記憶を垣間見ることがあります。私ができることとして、バレーボールを通じて少しでも子供たちを元気づけられたらと思うので、これからもバレーボール教室や震災復興のイベントがあれば、積極的に参加させていただきたいと考えています。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A私の場合、バレーボールの話になりますが、今日参加してくれた子供たちには、長くバレーボールを続けてほしいなと思います。私自身の体験ですが、バレーボールに集中して楽しめているときは「無」になって、何もかも忘れてバレーボールに熱中できるんですよ。子供たちはじめ被災地の方々には、バレーボールに限らず他のスポーツでも何でもいいので、熱中できることを長く続けてほしいなと思います。そういう意味でも、今日参加してくれた子供たちには、一日でも長くバレーボールを続けてほしいという私の願いがあります。

貝瀬ほのか(ソフトテニス)

Q本日の感想を教えてください
Aアスリートに直接教えてもらうという機会は私自身無かったので羨ましいと思いましたし、この機会にみんながもっと頑張ってくれたらと思いました。今日の子供たちは、私が教えたことをやってみようという姿勢がみれたので、こちらもすごく楽しかったし、他のことも教えてみようという気持ちになり嬉しかったです。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A今回のような機会を増やしていければと思っています。ソフトテニスの楽しさも伝えていければと思います。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A教わったことをすぐにやってみようという姿勢が見られたので、それを忘れずに謙虚な気持ちでもっと上を目指していってほしいと思います。

伊東若葉(ソフトテニス)

Q本日の感想を教えてください
A普段は高校生を指導する機会が多いのですが、今回中学生を指導させていただいて基礎基本の重要性を再確認することができました。基礎基本があって初めてかっこいいプレーや、やりたいプレーに繋がるということに改めて気付かされたので、今後指導する時にはそういった点を伝えていけたらなと思いました。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A私は普段教育現場に携わっているので、実際に自身や家族、親戚で被災した生徒も沢山います。心のケアではないですが、部活動や学校生活が子供たちの励みになり、今後の人生設計を支援できるような教育をしていきたいと思っています。テニスに例えて考えると、被災してテニスができない人がいるなかで、自分がテニスをできていることは当たり前ではなくて幸せなことだということを伝えていきたいと思います。子供たちの進路がどうなるのか、岩手県のためにどんなことができるのか、どのように自分自身が携わっていけるのかを考えながら、また生徒との関わりの中で人との繋がりを大切に活動していきたいです。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A震災後、当たり前が戻ってきているとは思うのですが、当たり前にやっていることを当たり前とは思わずに、今できていることに幸せを感じながら笑顔で、お互いに全ての人が協力しあって頑張っていきましょう。

坂本竜介(卓球)

Q本日の感想を教えてください
Aみんな最初緊張はありましたが、明るくて次第に楽しんでいたのが良かったなと思うのと、被災地だからというのではなく、どんな状況であろうとスポーツは楽しいというのは共通で、かつみんなでそれを共有、共感できるというのがスポーツのいいところだと思っています。強い弱い、結果がどうかということに関係なく楽しめるというところがスポーツの1番いいところだと思うので、今日卓球を通して楽しさを共有、共感できたことが1番良かったなと思います。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A復興してきているといえど、そのスピードは決して早いとはいえない。いつの間にか忘れてしまっているのが人間であり、悪いところでもあるので私自身は継続してこのような支援を続けて行きたいです。学校時代も青森なので、東北という地は所縁の地です。選手を引退する前から復興支援は続けてきていて、去年もこのイベント、福島いわき市でのイベントに参加させていただきました。今年も参加させていただきましたが、今後東北がどのように復興していくのかということに興味があり、子供達がその後元気でいるのかということも気になるので、卓球というツールを使って引き続き楽しさを共有、共感しながら復興支援に関わっていきたいと思います。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A笑顔でいられるということはすごく大切なことなので、大好きな卓球を思う存分楽しんで欲しいと思います。

高橋千恵美(陸上)

Q本日の感想を教えてください
A生憎の悪天候で外では走ることができなかったのは残念でした。体育館での実施となりましたが、柔軟性を高めるストレッチや動きづくりを中心に走りの基本を教えることができたので良かったと思います。子どもたちが真剣な姿勢で取り組んでいて熱意を感じました。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
Aスポーツは人に様々なものを与えてくれます。その力を活かして被災地の方々を元気にしたいです。今後、今回の事業のようなイベントに積極的に参加していきたいと思います。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A3年後には東京オリンピックがあります。諦めない気持ちを持ち続ければ出場できるかもしれません。それぞれがもつ夢や目標にむかって頑張ってほしいと思います。

参加者コメント

中学2年 女子 バレーボール参加
オーバーやアンダー、サーブの方法について理解することができてよかったです。今日のことを練習で活かして新人戦につなげたいと思います。

中学2年 女子 バレーボール参加
斎藤選手は自分の限界以上に努力したから全日本に選ばれたのが伝わって素晴らしいと思いました。今日受けてみて、いつも監督に教えてもらっていることだけでなく、斎藤選手から教えてもらったことも大事にして練習していきたいです。

中学1年 女子 バレーボール参加
斎藤さんから学んだことを活かしていきたいです。特に、ひざを使うこと、最高打点でトスを上げることなどを忘れずにいたいです。午後の試合では、ひざを使ってトスが安定しました。

中学2年 女子 バレーボール参加
基礎を改めて知ることができたので、次から意識していきたいです。スパイクで肘が下がらない方法を教えてもらえたことが良かったです。ブロックで相手の利き手を包むように教わり、実際ボールに当てられるようになりました。

中学2年 男子 ソフトテニス参加
前のボールを取るのが苦手でしたが、後ろに足を下げることを学んでから前のボールが取れるようになり、勉強になりました。今後につながる練習をしていきたいです。

中学2年 女子 ソフトテニス参加
普通では会えない人が来てくれてとても良い経験になりました。基本練習をしっかりとやって試合に活かしたいし、普段の練習からそれらを意識して頑張りたいなと思いました。

中学1年 女子 ソフトテニス参加
説明が丁寧で、とても分かりやすかったです。特に、先生が実演して打っているときの説明が良かったです。これからも真剣に取り組んでいきたいと思います。

中学1年 男子 ソフトテニス参加
フォアは狙ったところにいったけどバックはいかなかったので今度からバックを頑張りたいです。サーブ時の腰の回し方が分かったので上手くなったらやってみたいと思います。

中学2年 男子 卓球参加
手の動きだけではなく、足の動きも大事だということを学びました。新人戦で県大会出場するために毎日フットワーク練習をしていきたいと思います。

中学2年 男子 卓球参加
真面目に取り組むだけではなく、遊び心を持つことも大事だと知りました。県大会出場という目標に仲間と「遊び」ながら新しい技を身につけていきたいと思います。

中学2年 男子 卓球参加
坂本選手にまず感謝したいです。基本練習の大切さを学ぶことができました。新人戦で地区優勝することを目標にチキータの練習をしていきたいと思います。

中学2年 男子 陸上参加
呼吸の仕方、腕の振り方など走る上で重要なことを学ぶことができました。今日学んだことを活かして長距離走を頑張っていきたいと思います。

中学2年 男子 陸上参加
練習終了後に摂取すべきタンパク質やビタミンについて知ることができました。けがをしない身体づくりが重要だという事を理解しました。

中学3年 男子 陸上参加
走り方、ストレッチの方法を学べたので地区駅伝に向けての練習に活かしたいと思います。

中学3年 女子 陸上参加
改めて、ドリルなどの動きづくりの大切さを学ぶことができました。高校では陸上競技を専門とする予定なので今日教わった事を活かして頑張りたいと思います。