事業報告

スポーツノーマライゼーション〈ウィンター〉チェアスキー教室 in 宮城

プロジェクト
パワーアップ・ジャパン from Tokyo
イベント名称
スポーツノーマライゼーション〈ウィンター〉 チェアスキー教室 in 宮城
開催日
2018年2月11日(日)

2017年度パワーアップジャパン from Tokyo 被災地復興支援の第7弾として、宮城県のオニコウベスキー場にて「スポーツノーマライゼーション〈ウィンター〉チェアスキー教室in宮城」が開催されました。本イベントには野島弘氏、畑中みゆき氏、築館郁代氏を講師に迎え、被災3県の子どもから大人までの健常者及び車椅子利用の方々、総勢82名が参加されました。午前にはチェアスキー教室が実施されました。初めてスキーをする方からこれまでにチェアスキーを行ったことのある方やそれをサポートする健常者が協力して取り組まれており、滑れた時には、多くの喜びの声が聞くことができました。午後は、悪天候のため、講師による講演会に変更されました。そこでは、オリンピック・パラリンピックや競技に関することなど、様々な話がありました。本イベントはパワーアップジャパン from Tokyoにおいて障がい者を対象とした初の試みとなるイベントであり、障がい者も健常者も同じ目線でスポーツおよびウィンタースポーツを楽しむことができる非常に意義のある機会となりました。

○チェアスキー教室

サポート体験者や自衛隊の方々が協力して、チェアスキー参加者をチェアスキーに乗せるというところからプログラムが始まりました。その際、シートの中にタオルを詰めたり、多くのベルトで体を固定するなど、参加者に怪我が起こらないように様々な手段によって、細心の注意が取られていました。その後、参加者のレベルに合わせたグループに分かれて滑り始めました。初心者は基本的に2枚の板があるバイスキーに乗り、築館氏などからサポートを受け、短い距離を滑りました。普通くらい滑れる参加者は1枚の板のチェアスキーに乗り、リフトで上まであがり、畑中氏やサポート体験者が、後ろからのひもによるサポートを受け、アウトリガーをうまく使いながら滑り降りてきていました。一人で滑れる人は、よりうまく滑ろうと野島氏からアドバイスを受けながら、滑降していました。どのレベルにおいても、初めて滑れたことや指導を受け新たにできるようになったとなど出来たことへの喜びの表情や声が参加者や体験者から多く見られました。

○講演会

午後からの悪天候により、予定されていたチェアスキー教室から講演会に変更されました。講演会では、各講師がウィンタースポーツを始めたきっかけやどのような努力をしてきたのか、そしてつかみ取ったオリンピックおよびパラリンピックでの体験談、これらの経験をもとに行っている現在の活動など様々な話がありました。参加者は普段聞くことにできない話に興味津々に聞いていたことや質問が多く飛び交うなど、非常に良い雰囲気で行われました。また2月9日に開幕した平昌オリンピックの見どころや各講師の種目の楽しみ方も伝えられました。最後に講師から「この中からパラリンピックでメダルを取る人が出てきて欲しい」というメッセージが伝えられ、講演会は終了しました。


アスリートコメント

野島弘(日本チェアスキー協会理事)

Q本日の感想を教えてください
A運営側としては、午後の悪天候に見舞われ、午後の部を中止にしなければならないっていう判断が苦渋の選択で、キャンセルにするという前から、「午後は止めます」という子もいたし、キャンセルと伝えたら、「やりたかった」という人の声もあったし、どっちの選択をするかで悩むところだった。しかし、安全第一というコンセプトからすると、やむを得なかったのかなと思います。でも、今回の決断が今後の運営について良かったとなるように、有意義なものにしていきたいです。 講師側の視点としては、日頃、被災地の人たちとは会ってないので、初めての人が多かったです。技量が分かりませんでしたが、実際会ってみて、まず、1番に感じたことは、やる気が強いということを第一印象に持ちました。今回は午後の部が悪天候で中止になってしまったけど、午後もやりたかったって声が聞こえるほど、やる気を持っていた子が多かったです。そのやる気があったからこそ、上達も早かったと思います。それこそ1本1本、成長してるし、やる気があるから、怖いことに挑戦してくれた。決して今日はいい天気ではなかったけど、その中、強い気持ちで滑ってくれているなという子が多かったという印象が強く残っています。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A今までと変わらず、強い気持ちでやっていきたいと思っていますし、より継続してやっていきたいと思います。これまでも、被災地でのイベントに参加してきましたし、自分でも被災地で行事を作ってきたりしたので、これを継続していきたいと考えています。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A我々も強い気持ちで今後、障がいを持ちながらも生きていきますけど、皆さんに私たちの姿を見ていただき、また逆に皆さんが強く生きていく姿を現地にきて、目の当たりにして、言い方は悪いかも知れませんが、震災があったにも関わらず、会う人みんなは笑顔で接してくれて、逆に我々が「頑張ってください」とか言われてしまう、言っていただけるくらい、皆さんが強い気持ちで生きているのが、ひしひしと感じているので、それをいただきながら、また逆に、お返ししていけたらいいと思います。

畑中みゆき(フリースタイルスキー:モーグル)

Q本日の感想を教えてください
A今回初めてチェアスキーのイベントをやってみて、障がい者と健常者たちが交じってやれるスポーツであることを感じました。私もチェアスキーをやるが初めてだったのですごく感動しました。スポーツは素晴らしいと改めて思いました。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A今までは、ゲストととして参加する立場だったんですが、今回は運営する立場を、初めて中心となってやらせていただきました。いろんなイベントとかは運営していますが、今回こういったイベントの運営に、もちろん私だけじゃないですが、東北チェアスキーさんとか、いろんな方がいたので、実施することができました。運営する側の考え方、注意しなければならないこととか、事細かにできたっていうのは、人としてもそうだし、運営する側としても良かったと思います。今回が初めての試みでしたが、今後は2回目、3回目と、自立して出来るようになってくれるといいと思っています。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
Aみんながうまくなってオリンピック・パラリンピックにでれるとありがたいですし、嬉しいです。自分も地元に住んでいる人間として、オリンピック・パラリンピックに出れる選手が出るといいなと思っています。

築館郁代(バイアスロン)

Q本日の感想を教えてください
A健常者には分からない見えない部分がすごく、短時間ではありますが明確になったっていうのと、やはり健常者よりもみなさんポジティブだとすごく思いました。第一人者としてやっている方たちも健常者の姿をみて、自分たちで理解して、同じ障がいを持っている人たちに教えているところが、まだまだ未開拓な部分があるので、もう少しそのあたりを確立していけば、パラも一般の方にも、もっと広まるのではないかと思いました。健常者も乗れる場所が無かったり体験できるとこがないので、そうすると、体験してみて初めて目が見えない、足が動かないとか言ってる方の辛さが分かるから、無意識で手を差し伸べられることができるのかなと思いました。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
Aいろんな支援の仕方があるので、皆さんでアイディアを出し合ってやるのが1番いいのかなと思います。商品を買ってお金を落とすことも1つですし、子どもたちにこのような体験させるもあるし、まだまだ、被災した子どもや大人も含めて、心の痛みというのがあると思います。抱え込まないで吐き出せる場所を、臨床心理士さんとか相手ではなく、こういった楽しみながら思っていることを吐き出せる場所っていうものを作っていかないと、子どもが大人になったときを考えないと、目先のお金を落として町を奇麗にさせる、復興させるのではなくて、人として、震災を上手に乗り越えられる。それで、大人になったときに、自分から話せるタイミングみたいなものをいろんな形で作っていかないといけないなと思いました。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
Aいろんな意見を聞きたいなと思います。私たちに出来ることがあれば、頑張ってこちらも希望に応えていけるように努力していきたいと思います。皆さん頑張っていきましょう。

参加者コメント

社会人(チェアスキー体験)
すごい楽しかったです。自分は5年ぶりにチェアスキーを体験してみて、ある程度、基本的なことは教わっていていました。久しぶりにできるか不安だったんですけど、滑ることができたので、まずは良かったです。年に1回しかやっていないので、本当はチェアスキーの自分のやつを買って、シーズン中に何回か来れるようにしていきたいなっていう気持ちを少し持っています。震災の時は大学生で仙台に住んでいて、もともとバスケットボールをやっているのですが、震災の時は体育館が使えなくて、その中で練習したりしていて、すごい大変だったんですけど、1回1回の練習が、あまり場所がない中で貴重な時間なんだなと改めて実感しました。現在も、困っていることがあるとすれば、バスケやろうとしても体育館とか使えなくて、チェアスキーとかも雪山でスタッフもいない、サポートするスタッフもなかなか集まらない、チェアスキーは1人では出来ないので、サポートできるスタッフがいるといった環境というのが、障がい者スポーツでは大事であると思います。

中学2年(チェアスキー体験)
参加してみて、最初は滑るとき紐をつけてやっていたんですけど、後半は、平らなところだと紐も無しで1人で滑れたので、良かったなと思います。チェアスキーは今回が初めてでは無かったけど、前やった時から期間が空いてしまっていたので、感覚が全然違かった。でも、いろいろと教えてもらえて、それで滑れるようになった。今後は、ターンの方法とか今回習って、練習したので、次やるときは自分1人で滑られるようにしたいなって思います。

社会人(サポート体験)
私は新潟で3年くらいチェアスキーをやっていて、今年は2回目のチェアスキーへの参加でしたが、東北の方が新潟のチェアスキーよりサポートの面だったり、上手く滑れるように環境を整えてあげることが、しっかりしていると思いました。今後は、チェアスキーの人口を増やしていった方が、もっと楽しめる人が増えると思うので、もっと広めていきたいなと思います。車いすが必要な方たちは、やったことがない人が多いので、ちょっとでもやってみたいとか、体験することで、広がっていくと思います。

中学1年(サポート体験)
チェアスキーをやったことは1度もないけど、お父さんがチェアスキーをやっていて、それで、小さいころからやっていて、チェアスキークラブで講習会にも小さいころから参加してたので今回も参加しました。サポートとして、チェアスキーで転んでしまった方の介助をやりました。今までは、キッズの方で滑っていたんですが、サポートで今回やってみて、ちゃんと後ろで見て、転んでしまった方がいたときに駆けつけて起こしてあげるとなどの介助がちゃんとできたので良かったです。今後もチェアスキーのイベントとかあったら参加してサポートしたいです。