事業報告

ふくしま大運動会 in いわき

プロジェクト
パワーアップ・ジャパン from Tokyo
イベント名称
ふくしま大運動会 in いわき
開催日
2018年10月21日(日)

平成30年度パワーアップジャパンfrom Tokyo 被災地復興支援の第4弾として、福島県いわき市のいわき陸上競技場、平工業高等学校体育館、NPO法人いわきラビット体操クラブ・ラビット体操場で「ふくしま大運動会inいわき」を開催しました。晴天に恵まれた本イベントには、伊藤友広氏(陸上競技)、平瀬智行氏(サッカー)、田辺修氏(バレーボール)、坂本竜介氏(卓球)、長崎峻侑氏(トランポリン)を講師として迎え、高校生までの子どもたちを対象に行われました。午前は、いわき陸上競技場にて、小学生を対象とした「チャレンジ・スポーツ大会」を実施しました。懸命に取り組む子どもたちの姿に刺激を受けたアスリートが、全力のパフォーマンスを見せ、会場は盛り上がり、大きな声援に包まれました。

平工業高等学校体育館にて、終日「レクリエーションスポーツ」が開催され、スポーツ吹矢、ファミリーゴルフ、プラズマカー、スラックライン、大なわとびなど、バラエティに富んだ種目が揃い、賑わいを見せました。午後は各会場で「アスレチック・スポーツ」が行われ、各クリニックにおいて、アスリートならではの視点から、普段とは異なる指導や練習が行われました。子どもたちは、ひとつひとつのアドバイスに傾聴し、技術を体得しようと励み、大盛況でイベントは幕を閉じました。

○陸上競技

陸上競技では最初に伊藤氏の紹介が行われ、「誰もが今までより速く走れるように、この教室でコツを掴んでください」という言葉でスタートしました。ウォーミングアップと準備体操を済ませたあと、速く走るために重要となる正しい姿勢について伊藤氏から実演を交えながら解説があり、姿勢作りの練習を行いました。その後は、走るという動きは、片足ジャンプの連続であることから、重心の位置を意識したケンケンを練習し、前に進む感覚を伝えていました。後半はスタートの構えを練習し、何本かダッシュをしたあと、数名の参加者を1人ずつ走らせて、良いポイントや改善点をアドバイスしながら全体の講評を行いました。

○サッカー

快晴に恵まれた陸上競技場のフィールドで、平瀬氏によるサッカークリニックが行われました。はじめに、走りながらの腕回しや、サイドステップをしながら様々な動きを組み合わせたウォーミングアップを行いました。その後は、ボールを使ったコーディネーショントレーニングを行い、十分にボールに慣れた後、技術的な指導に入りました。リフティング練習ではボールに回転がかからないようにボールの中心を見極めて蹴ることや、ドリブル練習では、ボールを直接見るのではなくて、相手や周りを見ながら、ボールの場所を常に把握することなどの指導がありました。またキックで1番使われるインサイドキックでミスを少なくすれば、試合も練習も楽しくなると説明され、相手のところにインサイドキックでパスを出す練習を行いました。最後にチームに分かれてゲームを行い、習ったことを試す参加者の姿が見受けられました。

○バレーボール

バレーボールのクリニックは、ランニング・ストレッチといった簡単なウォーミングアップから始まりました。その後、アンダーハンドパスやオーバーハンドパスでリフティングをする練習が行われました。手先だけで細かくリフティングしながらネットの上を越えさせたり、下をくぐらせる練習では、小学生が難なくクリアする一方で苦戦する高校生もおり、対照的な光景がみられて盛り上がりました。田辺氏からは「ボールをよく見てコントロールしよう」という声がかけられ、参加者は真剣なまなざしで取り組みました。スパイクレシーブの練習では、棒立ちせず腰を落として身構えることを、田辺氏が実演も交えながら丁寧に指導していました。強いボールをレシーブすることに苦戦しながらも必死に食らいつく参加者の姿が見られ、終了後は達成感に満ちた表情が見受けられました。

○卓球

卓球のクリニックは、参加者のプレー時間を確保すべく実践メインで行われ、坂本氏が巡回しながら頻繁に声かけする姿が見られました。全参加者に共通して見受けられた、スイング後の次球への準備が遅い癖に対しては、全体集合をかけて指導を行いました。坂本氏が「動きながらだと良い球は打てない。止まって良い体勢で打つために、打った後にすぐ次の準備をすることが大事」と実演を交えながら話すと、参加者は頷きながら真剣なまなざしで聞き入っていました。少し高度なバックドライブの指導では、ラケットを寝かす角度について坂本氏から説明があり、「はじめはうまく打てなくてネットにかかってしまうかもしれないけど、諦めてラケットの角度を起こしてはいけない」という言葉に刺激を受けた参加者は、よりいっそう熱を込めて取り組んでいました。

○トランポリン

トランポリンのクリニックでは、全体でウォーミングアップを済ませた後、競技経験の有無によってメニューを変えながら、それぞれの参加者にとって最適な指導が行われました。未経験の参加者には、膝タッチや開脚といった導入レベルのメニューを通して、トランポリンの楽しさを伝えつつ、お尻から落ちる腰落ちなど,少し難易度が高い技を体験する機会もあり、楽しそうに笑顔で取り組む参加者の姿がありました。競技経験のある参加者は、半分ひねりからの腰落ちやひねりを上達させるための基礎練習といった、応用技術の習得に向けたメニューを中心的に取り組みました。すべての参加者から、長崎氏の実演も交えた指導を通じて何かを体得しようという熱い思いが感じられる、充実したクリニックとなりました。


アスリートコメント

伊藤友広(陸上)

Q本日の感想を教えてください
A昨年に引き続いての参加でしたが、子供達が元気で素直な子が多くて、午前の運動会から午後の陸上教室まで私自身も楽しませてもらった印象です。また、参加した子供たちの学ぶ意欲が非常に高くて教えがいがありました。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
Aこれまで私自身がやってきたスポーツを通じた被災地支援という視点で話すと、被災地だからといって何か対応を変えたり、プログラムを変えたりするということはしていないです。ただ、私としてはスポーツを通じて元気になったり、社会が豊かになるということを広げていけたら良いなと思っていて、たまたま対象が被災地だったというだけで、これまでも今後ともそのスタンスは変わらないと思います。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A特に陸上競技というのは、自分の成長が実感しやすいスポーツだと思っています。50m走のタイムが伸びたり、ケンケンで進める距離が増えたり、色んなタイムをとっていけば、成長が実感できるはずです。また、走るフォームがどのように良くなったとかも評価出来るはずです。このように視点をいくつか作ると人が成長するということを実感しやすいのが陸上競技だと思います。是非とも今後、これを機に陸上競技に親しんでくれる子供、大人も含め、いわき市に増えていけば嬉しいなと思います。

平瀬智行(サッカー)

Q本日の感想を教えてください
A午前の運動会では、普段なかなかできない種目をやることで体力向上にもつながると思うので、非常に良い運動会だったなと感じます。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
Aベガルタ仙台としても被災地に向けてサッカースクールや健康体操であったり、地域貢献活動として震災以降も継続しているので、今後も満足していただけるように、私たちもアイディアを出しながら楽しく活動していけたら良いなと考えています。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
Aサッカー以外でも一流アスリートが来てくれて、たくさん指導を受けることができたと思うので、まず最初は楽しくやることが前提ですけども、基本を忘れずにやってほしいなと思います。基本的なことが後々の財産になると思いますし、よりよく技術が向上していくひとつの近道になりますので、今日やった基本的なことは一生懸命やって欲しいなと思います。

田辺修(バレーボール)

Q本日の感想を教えてください
A小学生から高校生まで対象が幅広く、技術レベルにも開きがある中で、基本の練習しかできなかったのですが、子どもたちが真剣に話を聞いてくれて、一生懸命にプレーしてくれたので、とても良かったです。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A私自身、今回が初めての活動でしたし、今まで来たことがなかったです。被災地の復興に向けて、私にできることであればなんでもやらせていただければと思っていますし、こういった活動をきっかけとして、子どもたちが夢をもって活動できるような環境になっていけば、とても嬉しく思います。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A特に子どもたちには、夢をもってほしいなと思います。スポーツでもスポーツじゃなくてもいいんですが、何か目標をもって打ち込むことが大切だと思います。その手助けとして私たちが力になっていければと思っています。

坂本竜介(卓球)

Q本日の感想を教えてください
Aいわきは今年で参加するのは3年目になりますが、年々レベルが上がっているなというのが今日最初に感じたことです。一昨年より昨年、昨年より今年とレベルアップしているので、こちらも練習内容を進化させて高いレベルの練習ができますし、いわきのまち全体の卓球レベルが上がっているということを喜ばしく思います。レベルが上がっているということは、こうやって来て指導していることが、ひとつのヒントとして活きているのかなと思いますし、是非、このいわきから強い選手が出てほしいと思います。「あのとき坂本さんが来てくれたから代表になれた」みたいに思ってもらえるように、また機会があればこういう形で指導に来たいと思っているので、今後とも復興・強化に関わっていきたいです。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A復興支援の活動を続けてきましたが、震災直後と比べて子どもたちが元気になってきていることを強く感じます。だからといって、ここでストップさせるわけではなくて、こういうイベントをやめないことが大事だと思います。そして、被災地の方々が復興・自立を目指して活動する中で、我々と一緒につくり上げていくような形で協力していけたら、理想的だと思います。私自身、青森で生活した期間が長いので東北への想いが強いです。東北の卓球の強化も見据えながら、引き続き活動を続けていきたいと考えています。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A被災した方々それぞれが大変な思いをして、今もなお、つらい思いをされている方がいると思います。ただ、前を向いていくことは大事だと思っていて、被災地だからどうと考えるのではなく、のびのびと好きなことをやってほしいです。それが一番の復興につながると思っていますので、状況はそれぞれかもしれませんが、前を向いて取り組んでいってもらえたらなと思います。

長崎峻侑(トランポリン)

Q本日の感想を教えてください
A過去何回か参加させていただきましたが、今回は久しぶりの参加となりました。今回はチャレンジスポーツ大会が体育館ではなくて外でしたが、外はとても気持ちよくて、子どもたちとふれあうことができて、良い汗を流すことができました。今回、トランポリンのクリニックはラビット体操クラブでやらせてもらいましたが、体育館などとは違って体操場ならではの床やロングトランポリンなどの設備を使えたので、子どもたちにより実践に近い体験をさせることができて満足しています。色々な身体の動きを経験できたのではないかと思います。来年も機会があれば参加したいと思いますので、ぜひよろしくお願い致します。
Q今後の被災地に対する活動のお考えをお聞かせください
A私の実家も茨城で被災したのですが、そこで何が自分にできるかって考えたときに、やはりスポーツという特化したものを身につけてきたので、スポーツを使って被災地の方々ひとりひとりに勇気や希望を与えることができればと思って活動しています。今までもこれからも継続して活動していきたいと思っています。
Q参加者の皆さんならびに被災地の方々へのメッセージをお願いします
A震災はもちろん忘れてはいけないことだと思っていますが、被災したことを機に気持ちも切り替えて、マイナスな気持ちだけではなく、すべてがプラスになっていくような捉え方を意識して、日々生活していってほしいと思います。

参加者コメント

小学4年 女子 陸上参加
先生に誘われて参加しました。走りのコツを教えてもらってたくさん練習しました。最後にみんなと競走できて楽しかったです。今日教えてもらったことを練習して走り方を変えていこうと思います。

小学6年 女子 陸上参加
先生に勧められて参加しました。自分の走りの悪いところをアスリートの方に指導してもらえて走りが良くなりました。今後も良くなかった部分を練習して早く走れるようになりたいと思います。

小学6年 男子 陸上参加
お母さんに勧められて参加しました。地面からの力を利用して走ることや、姿勢など分からないことを教えてもらって分かるようになりました。100mを走るときは今日学んだことを思い出して速く走れるようになりたいです。

小学4年 男子 サッカー参加
お母さんがここでサッカー教室があると教えてくれたので参加しました。簡単にできる練習もあれば難しい練習もあって勉強になりました。今日学んだことをしっかり試合で出来るように練習していきたいです。

小学4年 男子 サッカー参加
もっとサッカーが上手になりたくて参加しました。参加してみて前より上手くなったし、楽しくサッカーが出来ました。サッカーのチームに入っているので今日学んだことをそのチームでもやっていきたいです。

小学2年 男子 サッカー参加
チラシを見て参加しました。初めてやる練習が多くて楽しみながら練習出来ました。家でも切り返しの練習やボールを蹴る練習しているから続けていきたい。

小学6年 男子 バレーボール参加
今日はレシーブを中心に教えてもらいました。どれも楽しく取り組むことができたので良かったです。僕はレシーブがあまり得意ではないので、今日教えてもらったことを覚えておいて、できるようにしていきたいです。

小学4年 女子 バレーボール参加
レシーブの仕方や、オーバーハンドパスの仕方を教えてもらえて良かったです。もし、スポーツ少年団に入ってバレーボールをやることができたら、そこで今日教わったレシーブなどを活かしていきたいです。

中学2年 男子 卓球参加
今日は坂本選手が来ると聞いて参加しました。坂本選手に会えて嬉しかったですし、直接教わることができてとても嬉しかったです。今日教わったことを練習にも取り入れて、ひとつひとつの試合でその練習の成果を活かしていきたいと思います。

中学1年 男子 卓球参加
坂本選手が来ると知って参加することにしました。坂本選手のようなドライブやツッツキなどをできるようになりたいと思いました。大会や試合の1本1本を大切にしながら、決め所でしっかりポイントが取れるようにしたいです。教わった技術を発揮できるように練習を頑張ります。

小学6年 男子 トランポリン参加
自分が分からない技をできるようになったし、できなかった技も練習して少しできるようになったので、楽しかったです。長崎選手の教え方が分かりやすくて、上達できたので、もっとトランポリンを楽しめるようになりました。

小学5年 女子 トランポリン参加
トランポリンを初めてやったので、始めは全然自信がなくて不安だったけど、分かりやすく教えてもらえたので、少しできるようになりました。長崎選手が丁寧に教えてくれたので、少しずつ上達することができました。